理科 -筒方地区の自然と動植物

筒方地区の四季

春:
私たちが待ちに待った季節です。ところどころにフキノトウが顔を出し、イチリンソウやショウジョウバカマなどの可憐な花が開きます。
雪解けは平野部より1週間程度遅く、田植えなどの農作業も6月上旬までかかることがあります。コゴミ、ウド、ゼンマイ、ワラビなどの山菜が豊富です。
夏:
一日の気温の差が大きいので、おいしい米がとれます。地滑り地帯の棚田ではありますが、土質が粘土質なので肥料成分の保有度合いが高くこの点も米の生育と食味に大いに影響しています。光ヶ原は標高900mくらいのところにあり、気温は平野部とは5℃ほど低く涼を求めて多くの人が訪れます。7月~8月頃にホタルの飛び交う様子を見ることができます。
秋:
9月中旬が稲刈りの最盛期になります。黄金色に波打つ田の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあります。近年、この地の特産物として「ソバ」が知られるようになり、休耕田を利用してソバの栽培が行われています。
冬:
例年12月から雪が降ります。降っては消え、月末頃に降る雪が根雪になります。
毎年3mくらいは積り3月末まで雪に覆われます。雪が積もると除雪車が出動し道路の除雪をします。この地では車は必需品であり、その意味では除雪車はまさに「英雄」といっても過言ではありません。
この時期、雪をいただいた妙高・火打連山は絶景です。

関田山脈と黒倉山

文化財調査審議会委員 中島 公

高田平野の中心、上越市方面からみて東方に連なる標高千メートル前後の山脈を俗に東山と呼んでいる。
この東山は、古来交通、文化、政治、経済等で信州や魚沼等と異なった独特の上越文化を圏を形成する一つの要因ともなってきた。
すなわち、明治以降の急速な文化、交通の発達により、それまでは関川を中心とした高田と頚南の文化、保倉川を中心とした東頸と頚北の文化、海岸線での西頚文化の三つに分かれていたものが、次第に同化しつつ今日に至っているのである。
ただ風俗、習慣等、特に言語においては、まだ多くの特色を残している。
関田山系には、処々の地名に、山岳宗教の盛んであった時代の修験道場の栄を物語る名残がある。
この山系により流れ出る水は、高田平野を黄金色に染める源であり、上から馬場川、大熊川、別所川、櫛池川がある。
また、山を越えての往来も盛んだったが、開発が進んでいる関田峠を除いては近年通れなくなった峠も数多いようである。
関田山脈の最高峰黒倉山の頂上には、板倉町山岳協会の手で建立された山頂碑がある。この山頂付近で、当町、新井市、長野県飯山市との境界となっているが雑木が繁茂していて判然としない。
標高千百十メートルの関田峠(大明神峠)からは登山道が開かれ、寺野側からも登山道がある。
さて、この山地は動・植物が大変変化に富み(南方型・北方型の混合型)種類も豊富であるが、近年開発等によってその生態系を少しずつ変えてきており、その主なものの紹介を試みることとする。

モリアオガエル

関田山地の湿地帯や、水たまり(ため)池の付近を歩いていると普通のアマガエルより更によく通る鳴き声で鳴いているが、ガサッとでも音がすると急に静かになってしまうカエルがいます。
山に行かれたときに、こんな経験をおもちの方もあるかと思いますが、これが「モリアオガエル」です。
両性網無尾目アオガエル科に属する日本固有の種類で、本州と四国に生息し、南部では山地に住んでいますが、北部では低地にも生息しています。
背面は緑色で、暗かっ色の不規則な斑紋を散布することが多い。
ほぼ同様の地域に生息するシュレーゲルアオガエルより大形で、体長は五~八センチメートル。
五~六月に山間地の池の上にはり出した木の枝や葉の間に産卵しますが、ときには水辺に産卵することもあります。
雌の産む卵を、抱接した雄が受精させながら後足でかきまぜるため、卵魂は白色の泡状になります。
しばらくすると、卵魂の表面は黄かっ色となり、やや硬くなりますが、これは内部の卵を保護する役割を果たすわけです。はいは最初黄白色ですが、ふ化する頃には黒色色素が形成されます。
ふ化期になると卵魂はくずれはじめ、オタマジャクシは下の水面に落下します。緑色の色彩は変態期に発現します。
産卵習性が変わっているために、国や県の天然記念物にも多く指定されており、当町でも、生息区域を限らず町天然記念物として大切に保護しています。

ギフチョウ

山桜の咲く頃に関田高原を歩いていると、アゲハチョウに似た美しいチョウに出会うことがあります。これがギフチョウで、昆虫網りんし目アゲハチョウ科のチョウです。
本州の特産種であり、関田山系ではギフチョウと近縁種のヒメギフチョウとが混生している場所があります。幼虫の食草はカンアオイ類で、卵はこれらの食草の若葉の裏面に数卵が並べて産みつけられます。
幼虫は晩春によう化、そのままさなぎの状態で夏、秋、冬を越して翌春に羽化するのです。
非常に美しいチョウなので、生息地では天然記念物として大切に保護されています。
しかし、幼虫の食草となるカンアオイ類を絶やしてしまうような乱開発をすれば、すぐに絶滅してしまう危険性があり、これからも充分気をつけて保護にあたらなければなりません。

サンショウウオ

山歩きや山菜とりをしていてのどが渇いたときなど谷川の水をすくって飲むとき、石をはぐってよくみると、イモリに似たようなグロテスクな小動物を見ることがあります。
これがサンショウウオです。イモリよりは小さく、イモリの皮膚があらいのに比し、サンショウウオの皮膚は滑らかです。サンショウウオ科はアジア東部に分布する原始的な有尾類で、日本には十三種が知られていますが、関田山系ではカスミサンショウウオ、クロサンショウウオ、トウホクサンショウウオ、ブチサンショウウオの四種が普通にみられます。
日本特産種なので、国や県の天然記念物に指定されているものが多くなっています。

ミズバショウ

関田山系のミズバショウの群生地は、尾瀬沼や鬼無里などとちがい、大規模なものこそないが、その分布は、東頚城郡からまだらお山までの標高五百米以上の湿潤地に、ひっそりと群生しています。
これらの場所は、たいてい小かん木が覆いかぶさるようになっているため、余り人目にはつきません。
ミズバショウは、寒地に生える多年草で、その花は春が早く雪消えとともに咲きはじめるので、まだ残雪のあるような時期に行かないと見ることが出来ないのも、目立たない理由の一つです。
白い花びらのようなものは、実は仏炎包と呼ばれるもので、本当の花はこの中の黄色の小さな花です。
平地へ移植しても、冷水と日陰のない所では中々育ちませんが、美しい花は、やはり自然を背景にした静かな場所で鑑賞するのが一番よいようです。

関田山系の食草について

春一番と呼ばれる大きな南風が止んだあと、銀世界だった高原も、黒く変色してくる。そして、底なだれが一段落するころには、四月も半ばを過ぎ、なだれでけずりとられたような傾斜地には黄緑色が春を知らせます。
アズキナやフキタチは、はやくから芽を出します。ウドナ、トトガラなども小さな芽を出して春の陽を浴びます。ハンゴンソウやトトキナ、シドキナなどもおいしい山草です。アザミの類は、あくが強いですが、みんな食べられます。ゼンマイも出ますが、急傾斜地にでるので危険です。エラは、少しおそく、ガレ地に出ます。
コオメは、雪の消えるのを待って出、ミズナやタケノコが出はじめると、山菜は奥山へ行かないとありません。
しかし、最近は、資源保護と生活権保護のために、山止めしていることが多いので、ご注意ください。
また、この山系には「マムシ」が、特に多いので、南東向きの山では、ご注意ください。マムシの模様は警戒色でもあり、保護色でもあり、木の上で休んでいます。